家を売却する際にトラブルに巻き込まれないよう、この記事では事例を交えながら悪徳不動産屋の見抜き方をお伝えします。
とある一戸建て売却査定の事例
3社に訪問査定を依頼
A・B・Cの3社が実際にあなたの家を訪問し、不動産売却査定を行いました。
A社は売却に強いといわれる不動産屋です。
B社は地域密着型の不動産屋です。
C社は大手の不動産屋です。
各社の不動産査定結果は?
査定のために最初に訪問してきたA社。
弊社は売却実績が豊富なので間違いはありません。
2,500万円なら確実に売れます。
次に来訪したB社は、競合他社の存在を気にして聞いてきました。
そこでA社の査定額は2,500万円だったことを話すと 、次のように返してきました。
弊社はこの地域で長年やっているので、もっと正確な査定ができます。
この家なら2,700万円で売れます。
200万円もの査定額アップに、あなたは大きく気を引かれます。
最後に来訪したのはC社です。
笑顔で世間話をしながら、A社が2,500万円 、B社が2,700万円の査定額だったことを知ると、次のように語りだしました。
確かに2,700万円は適切な価格かもしれません。
しかし弊社でしたら大手ならではの知名度とネットワークがあるので、多くのお客様にアプローチできます。
弊社にお任せいただければ2,750万円で売れます。
どの不動産屋に売却を依頼する?
さあ、あなたならどの不動産屋を選びますか?
ほとんどの方が最も高い価格で売ると言ってくれたC社を選んだのではないでしょうか。
残念ながら、それは危険な選択です。
不動産屋の査定額はあくまでも「見積もり」であって、査定額=実際の売却価格ではありません。
では、なぜ高めの査定額を不動産屋は提示するのでしょうか。
それは高い査定額が出ると、まるでその価格で売れるかのように錯覚をする人間の心理を利用して、媒介契約を取りたいからです。
ひとたび専任媒介契約を結んだ後は、買い手さえ見つければ、不動産屋は確実に報酬つまり仲介手数料を稼ぐことができます。
実際にいくらで売れるかにかかわらず、少しでも他社より高い査定額を提示して、あなたの気を引こうとしているのです。
それではC社と専任媒介契約を結んだ場合にどうなるか、その後の流れを見てみましょう。
実際に家を売りに出してみると・・・
売り出し価格は確かに2,750万円。
問い合わせも多少はありますが、なかなか内見にまで至りません。
売り出しから1か月後、C社の営業担当者が来てこう言います。
反響がかんばしくないので、ちょっと価格を下げませんか?
そこで、あなたは渋々値下げに応じ、2,680万円で売りに出すことにしました。
価格が下がったことでチラホラ内見者も出てきましたが、実際に購入したいという買い手はまだ現れません。
やはり一生に一度の高い買い物なので、みんな慎重。
他にもっと良い物件があるのではないかと購入には踏み切れないようです。
値下げから2か月後、つまり売り出しから3ヶ月経って、再びC社の営業担当者がこう言います。
このままでは買い手がつきません。
2,500万円まで思い切って値下げしましょう!
もちろんあなたは「嫌だな」と思いますが、この数カ月間、内見のたびに家を掃除して、笑顔で対応しているのに成約に至らない生活に正直なところ疲れてきいます。
そこで「もうこれ以上は値下げしないぞ」と思いつつ、2,500万円でOKを出します。
そして3週間後、ようやく買い手が表れて、2,500万円で無事に売却することができました。
とある一戸建て売却査定の事例から学べること
振り返ってみれば、A社の査定価格がかなり正確だったことが分かります。
おそらくB社もC社も2,500万円あたりが妥当だと踏んでいたはずです。
ただ売主であるあなたの心をつかみ専任媒介契約を取るために、頃合いをみて値下げすることを前提に、高めの査定額を提示した恐れがあります。
この事例から分かることは「査定額≠実際の売却価格」であり、不動産屋は査定額「だけ」で選んではいけないということです。
悪徳不動産屋の恐れがある3つの特徴
1)査定額の「根拠」をごまかす不動産屋
前述の査定事例のように、専任媒介契約を取りたいからと、相場よりも大幅に高い査定額を提示してくる不動産屋については見極めが大切です。
もちろん本当にあなたの物件に「価値」を見い出してくれている可能性もあります。
ただ売れないと分かっていながら、あえて高い査定額をつけて専任媒介契約をとり、数カ月、売主が痺れを切らしたところで値下げを提案する「値こなし」という手口の恐れもあります。
後から大幅な値下げを要求されることがないよう、「なぜこの査定額なのか」具体的な根拠を説明してくれる不動産屋を選びましょう。
不動産屋からの説明は義務ではありませんが、査定額の「根拠」を尋ねてもあやふやな答え方しかしない不動産屋は避けた方が懸命です。
2)売主にとって良いことしか話さない不動産屋
不動産屋の中には、売主にとって良いことだけ話す担当者もいます。
ですが不動産の「売却」は「購入」よりも難しいものです。
特に現在は供給過多な状態なので、たとえ築浅の建物であっても希望価格での売却が難しいこともあります。
そのため「売主にとってのメリットだけでなく、デメリットも正直に伝えてくれるか」は誠実な不動産屋を絞り込む際の大切なポイントです。
3)両手取引を狙って、自社だけで顧客を見つけようとする不動産屋
両手取引を狙う不動産屋は、他の業者を通して買い手が現れると報酬が半分になってしまうので、問い合わせがあっても「もう購入申込があります」と嘘をつくことがあります。
他社から問合せがあっても「あの物件は商談中です」など理由をつけて断り、自社で売却の依頼を受けた物件を他社に紹介しないことを「囲い込み」といいます。
両手取引を狙った囲い込みは不正ですが、残念ながら多くの不動産屋で横行しているのが実態です。
そこで「囲い込み」をするような悪徳不動産業者を排除するために、国土交通省は2016年1月から売主も「レインズ」で登録状況を確認できる「ステータス管理」を導入しました。
レインズとはReal Estate Information Network Systemの頭文字をとった略語で、基本的には不動産屋しか見られない、日本中の物件売買情報をリアルタイムで検索できるシステムのことです。
売主が見れるのは自分の不動産情報だけですが、例えばどこからも申込は入っていないのに、レインズ上で「書面による購入申込みあり」「売主都合で一時紹介停止中」などの表記がある場合は、仲介を依頼している不動産屋を問いただすことができます。
頼れる不動産屋の選び方
以上より、家や土地の売却を成功させるには、信頼できる不動産屋(担当者)に任せることが重要となります。
加えて、物件ジャンルによって不動産屋にも得意ジャンルと不得意ジャンルがあります。
そのため、次の2点を満たす不動産屋と巡り会えるよう動く必要があります。
- メリットだけでなく、デメリットも正直に話してくれる不動産屋
- あなたが売りたい物件条件の売却を得意とする不動産屋
ですが忙しい毎日の中では、休日のたびに不動産屋一社一社を巡って物件の状況を伝えながら査定してもらうのは手間がかかり面倒です。
そこで我が家は不動産一括査定「HOME4U」を利用しました。
- 日本最高クラスのセキュリティシステムを構築してきたNTTデータグループの運営なので、安心して利用できる
- 国内初の不動産一括査定サービスで、運用歴が長い
- 50万件を超える膨大な売却査定データを活用して、その不動産タイプの売却が得意な不動産屋を選出
- 築年数が古い家であっても、リフォームや外壁塗装など加点できる部分を見つけ出し、限界まで高値で売れるサポートをしてくれる
査定額を待つ間の各営業担当者とのやりとりは1~2回だけでしたが、査定額の根拠、熱心さ、相性などは十分に感じ取ることができ、「査定額」と「不動産屋」の比較を同時にできました。