ようやく家や土地を売る契約段階までこぎつけたのに、「必要書類が揃ってない!」と焦ることのないよう、早い段階から必要書類をまとめておくとスムーズに不動産売買を進められます。
この記事では、家や土地、マンションを売却する際の必要書類をまとめました。
不動産売却の際の必要書類は12種類
あなたも物件購入時はそうだったと思いますが、買主にとっては物件の情報はもちろんのこと、誰から買うのか、権利関係はどうなるのかなど、知っておきたい情報は色々あります。
下表から分かるように、マンションの売却よりも、一戸建てや土地の売却の方が必要書類が多くなります。
ただ可能な限り多くの情報を渡すことによって、安心して取引してもらえるようになります。
項目 | 一戸建て | 土地 | マンション | |
---|---|---|---|---|
1 | 登記済権利証または登記識別情報 | ◎ | ◎ | ◎ |
2 | 固定資産評価証明書および固定資産税納税通知書 | ◎ | ◎ | ◎ |
3 | 土地測量図・境界確認書 | △ | △ | × |
4 | 身分証明書 | ◎ | ◎ | ◎ |
5 | 印鑑証明書および実印 | ◎ | ◎ | ◎ |
6 | 住民票 | △ | △ | △ |
7 | 建築確認済証および検査済証、建築設計図書・工事記録書等 | △ | △ | × |
8 | 耐震診断報告書・アスベスト使用調査報告書等 | △ | △ | △ |
9 | 地盤調査報告書・住宅性能評価書・既存住宅性能評価書 | △ | △ | △ |
10 | ローン残高証明書 | △ | △ | △ |
11 | 売買契約書 | ◎ | ◎ | ◎ |
12 | 重要事項説明書 | ◎ | ◎ | ◎ |
◎必須書類
△任意もしくは該当者のみ
×非該当
1)登記済権利書または登記識別情報
不動産売却に際しての最重要書類が「登記済権利証」または「登記識別情報」です。
物件の特定と登記に使用する書類で「権利証」とも呼ばれます。
法務局から登記名義人に公布される書類で、登記名義人が真の所有者である事を証明する大変重要な書類になります。
かつては登記済権利証として紙の権利証が発行されていましたが、2005年に施行された新不動産登記法以降は登記情報がオンライン化され、新しく登記識別情報に切り替えが行われたので、どちらかを用意してください。
この登記済権利証を買主に渡すことによって、不動産の所有権を移転させます。
2)固定資産評価証明書および固定資産税納税通知書
固定資産税に未納がないかを確認するのはもちろん、移転登記などに必要になる登録免許税の算出にも利用する重要書類です。
各市区町村で発行されていますので、最新のものを用意しましょう。
なお、固定資産税は1月1日現在の所有者にその年の1年分の納税通知がいきますが、売却等移転登記をしたら経過月に応じて払い戻されるのが一般的です。
3)土地測量図・境界確認書
一戸建てや土地の売買を行う際に必要となる書類で、売却する土地がどの部分なのかを明確にするために重要となります。
境界線があいまいな場合、購入後にトラブルとなるリスクもありますし、査定額にも影響します。
持っていない場合は売却不動産に隣接する土地所有者の承諾を得て、あらかじめ測量図を作成しておきましょう。
4)身分証明書
商談の相手が権限を持つ本人に間違いないか、本人確認のために使います。
運転免許証・パスポート・各種健康保険証などで大丈夫です。
物件が親子や兄弟などで共有名義となっている場合は、共有者全員のものが必要となります。
査定の段階では用意していなくても問題ない場合もありますが、共有名義人が遠方に住んでいる場合には事前に打ち合わせをして、売却する際はすぐに用意できる段取りをつけておきましょう。
5)印鑑証明書および実印
使用している印鑑が、本人が登録した印鑑であることの証明です。
有効期限は3ヶ月です。
査定段階では必要はなく、登記申請の際に必要となる書類です。
6)住民票
「登記上の住所」と「売主の現住所」が異なる場合に必要となります。
有効期限は印鑑証明書と同じく3ヶ月です。
7)建築確認済証および検査済証、建築設計図書・工事記録書等
建築確認済証や検査済証は、売却不動産が建築基準法を遵守して建築されていることを証明するもので、売主・買主の双方にとって重要かつ必要な書類です。
現地で調査が行われ、適合が確認された後に検査済証が発行されます。
建築設計図書や工事記録書等は法的必要書類ではありませんが、将来的にリフォームやメンテナンスをする際に有益となる情報なので、買主の信頼を得るのに役立ちます。
8) 耐震診断報告書・アスベスト使用調査報告書等
地震大国の日本だからこそ、重要視されるのが耐震診断報告書です。
売却する不動産が古い場合は提出を求められる場合もあります。
その他にもアスベスト使用調査報告書など、安全面や健康面において提出できる書類があれば可能な限り用意してください。
必須書類ではありませんが、買主に安心を与えることができますし、トラブルを未然に防ぐことができます。
9)地盤調査報告書・住宅性能評価書・既存住宅性能評価書
地盤の状態がどうなっているのか、住宅の性能は法律に基づいた基準でどのように評価されているかなど、第三者による客観的なデータなので、買主にとっても分かりやすく物件選びの決め手になる場合があります。
必須書類ではありませんが、所有しているのであれば提出すると買主の信頼度アップ・購入意欲の向上につながります。
我が家の場合は専任媒介契約を結んだ不動産屋がホームインスペクションを実施していたので、専任スタッフが派遣され、約3時間かけて家の傾きや床下などを無料検査しつつ、評価書を作成してくれました。
10)ローン残高証明書
売主が住宅ローンの返済中であった場合にのみ必要となります。
残債と返済額が分かるローン残高証明書もしくは返済予定表を用意します。
11)売買契約書
売却価格や引き渡し時期などの条件交渉が終わり、いよいよ売却する際に最重要となる書類です。
不動産仲介会社を通した場合は宅地建物取引業法という特別法が適用されるため、契約書がなければ売買契約は成立しません。
そのため必ず必要となる書類で、通常は仲介した不動産屋が作成してくれます。
売買契約書の内容は下記を重点的にチェックしましょう。
1.売買対象物件の表示・面積について
土地、建物ともに不動産登記簿に記載された事項を記載しています。
2.売買金額、支払い時期と方法、物件の引き渡しと所有権移転登記の時期
売買代金の総額と内訳、および支払い時期を明記しています。
3.契約解除に関する定めについて
売主と買主のどちらかが契約違反をした場合、手付解除や違約金などの取り決めについて記載しています。
4.危険負担について
物件の引き渡しの間に天災などによって不動産が損壊した場合の責任を売主と買主のどちらが負担するかを明記しています。
一般的には売主が負担する場合が多いです。
5.瑕疵担保責任(かしたんぽせきにん)について
万が一不動産に欠陥が見つかった場合、その責任の所在を記載しています。
関東では売主がその責任を負うことが一般的ですが、関西ではその責任を負わないことが多いようです。
12)重要事項説明書
その名の通り、契約条件などの重要事項に関する説明が記載された書面です。
宅地建物取引主任者による説明内容を記載したもので、売買契約の締結までに売主が買主に対して物件に関わる重要事項の説明をするために必要な書類です。
必須書類ではなくても、提示できる情報や書類は多い方が買主からの信頼を得やすく、購入意欲を高めることができます。
準備も売却活動の一環ととらえ、最善を尽くして書類をまとめておきましょう。