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農地転用とは?5つの農地活用方法から考える耕作放棄地の対策

農地売却

農地は原則として売買できませんが、農地転用であれば一定の条件下で売買は可能です。

この記事では「農地転用」「農地活用」についてまとめていきます。

農地を購入して欲しいということは、買い手が農家か農業参入者に限定されます。

また買い手を農家か農業参入者に限定しないということは、農地を農地以外に転用できるかが重要になってきます。

近年の農地売買では、農業に関係なく農地を購入したい方が多いので、どうしても転用については知っておく必要があります。

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農地転用とは

農地転用

農地転用とは、農地を農地以外の目的に転用することを言います。

申請先は自治体(市区町村役場)の農業委員会になりますが、はじめての方は手続きの代行を依頼しておくとスムーズです(転用申請は本人でも十分行えますが、不慣れな場合は申請から任せてしまうのも良いと思います)。

手続きが代行できるのは、行政書士、弁護士、司法書士のほか、建築に関する案件は建築士(一級建築士・二級建築士・木造建築士)に依頼できます。

なお不動産表示に関する登記について、調査を目的として農地転用関係の証明書類の交付請求書を作成する場合は、土地家屋調査士のみこれを行えます。

また農地転用には4条と5条申請がありますが、違いは

  • 所有者自ら農地を農地以外にする場合は4条許可
  • 所有者ではない者が農地を農地以外にする場合は5条許可

となります。

立地基準で転用の結果は大体分かる?「農地区分」とは

結論を急ぐようですが、農地転用は農地の立地基準で許可・不許可は大体分かると言われています。

そして農地の立地基準を農地転用では「農地区分」と言います。

農地区分とは農地としての重要度で区分けされたもので、平成22年6月に面積の変更や農地転用の許可等が厳格化されています。

なぜ厳格化されたのかというと、転用の規制は食糧自給用地確保に関わるからです。

以下が5区分に分けられた農地区分です。

農用地区域内農地:原則不許可

農地には約10年間農業を推進するための「農業振興地域」という特別に法律で制限された土地があります。

「農業振興地域」の中には農用地の利用確保として「農用地区域」というものがあります。

さらに「農用地区域」は「農地」「採草放牧地」「農業用施設用地」「混牧林地」に分けられます。

農用地区内の土地は、原則として農用地以外の用途で利用することはできません。

甲種農地:原則不許可

第1種農地の条件を備えた市街化調整区域内にあり、農業公共投資の対象となっている事業完了後8年以内の農地、また高性能農業機械による営農に適した集団農地のこと。

農地転用は原則不許可ですが、許可の例外があります(ただし、第1種農地よりは厳しくなります)。

第1種農地:原則不許可

農業公共投資(土地改良事業等)の対象となった農地、集団農地、生産力の高い農地で、10ha以上の規模の一団の農地、土地改良事業等の対象となっている農地で、良好な営農条件を備えています。

農地転用は原則不許可ですが、許可の例外があります。

第2種農地:周辺の他の土地に代えられなければ許可

近い将来、市街地として発展する環境にある農地や農業公共投資の対象となっていない生産力の低い小団地の農地です。

また鉄道の駅が500m以内にあるなど、市街地化が見込まれる農地、または生産性の低い小集団の農地のこと。

第3種農地に転用できない場合など許可される可能性があります。

第3種農地:原則許可

都市的施設の整備された区域内の農地や市街地内の農地で、鉄道の駅が300m以内にあるなど、市街地の区域または市街地化の傾向が著しい区域にある農地です。

農地転用は原則許可されます。

以上より、第2種農地と第3種農地以外は、原則、転用は不許可となります。

大規模かつ優良な農地は許可は難しく、市街地に近いほど許可されやすいというわけです。

農地転用のための「一般基準」審査とは

農地転用は転用後の用途によって「確実性」や「妥当性」を審査されます。

この審査を「一般基準」と呼んでいます。

一般基準は農地区分の後に審査されますが、どのようなものが“一般基準”なのか、見ていきましょう。

農地転用後の運用の確実性

「一般基準」審査は、おもに資金計画や融資の確実性をチェックされると思ってください。

小屋や倉庫など規模の小さな建物建築では融資を受けない場合もあるでしょう。

このように全額自己資金で計画している場合は、通帳の残高証明で自己資金のチェックを受ける可能性は十分にあります。

また融資を受ける場合、融資先の金融機関やローンの確実性を見るために、資金計画表をチェックされます。

いい加減なものでないかどうか、専門の人がチェックすれば大体分かります。

「一般基準」は農地転用後の運用の確実性も、もれなくチェックされると思ってください。

農地面積が事業の目的からみて適正でないと判断された場合

農地転用を認めるとしても、できるだけ必要最小限に留めたいという考えが背景にあることを伺わせるもので、場合によっては転用面積にも適正な広さを求められる場合があります。

もし目的から考えて適正ではないと判断された場合は、農地転用申請が通らないこともありますので要注意です。

周辺農地の営農条件に支障をきたす恐れがある場合

転用地に隣接している田畑が、建物を建てることで支障をきたす場合があれば、申請を通したとしても不許可になってしまうケースもあります。

建築物の排水方法や土留めなども確認されます。

また日当たりは必ず影響を受けてしまいますので、計画する建物の高さが明らかに高い場合は、事前に「隣接地承諾書」を交わす必要も出てきます。

一時的な転用では回復後に農地としての利用が不確実となる場合

転用が一時的なものだとして、再び農地に戻す場合、復旧後、確実に農地として問題が生じる場合は、それが理由で農地転用ができなくなる場合もあります。

対策として、建築側との復旧工事の打ち合わせを入念にしておくことをおすすめします。

耕作放棄地や遊休農地の活用方法1:農地転用はしないで農地のまま活用する

耕作放棄地や遊休農地は地域ごとに色々な活用がされています。

農地として復活再生に成功している地域もありますし、農地転用により売却や賃借に成功している土地もあります。

ここでは、それぞれの遊休農地の活用方法に目を向けてみたいと思います。

まずは農地転用はしないで農地のまま活用する場合です。

遊休農地を農地として活用していく方法は、多くの農家が望んでいることで、用途の変更もありませんので農地転用も不要です。

ただし、売る場合や貸す場合は農業委員会の許可が必要になりますので注意が必要です。

他の農家に農地を売却する

農地を相続などで引き継ぐことはあっても、実際に農家でない方も多く、その場合は耕作放棄地や遊休農地となってしまうことが多いです。

この場合の選択肢の一つとしてあるのが農地の売却です。

農地の売却には2通りの方法があります。

ひとつが農地法の第3条による所有権移転です。

そしてもうひとつが、注目の農業経営基盤強化促進法による所有権移転です。

農地法第3条による所有権移転は、耕作面積が50a以上ないと許可が下りず、かつ譲渡所得税が売買金額の約20%かかります。

一方、農業経営基盤強化促進法による所有権移転は、農地が農業振興地域内に設定されており、かつ譲り受ける人が認定農業者でなければいけません。

ただし農業経営基盤強化促進法での所有権移転は、譲渡所得税が800万円まで特別控除されますし、登録免許税も減税があるため、条件が合えば農地法第3条による所有権移転より断然お得です。

もちろん購入希望者がいなければ売買は成立しませんので、売却を検討している場合は農業委員会へ相談し、使わない農地を処分したいことを伝えましょう。

他の農家に農地を貸す

使っていない農地は、売却するより貸すことが多いのではないでしょうか。

農地を貸す場合でも、農地法第3条の規定により農業委員会の許可を得なくてはなりませんが、いまは前述の農業経営基盤強化促進法でも農地の貸借契約が可能となり、こちらを選択すると農地法の許可を受けずに済みます。

貸す側のメリットとして、利用権を設定した農地は、設定期間が終了すると離作料を負担せず貸主に返還されます。

また再び利用権の設定を行い、継続して貸すこともできます。

耕作者側のメリットは、設定期間中は安心して耕作ができ、利用権を再設定すれば耕作をさらに継続できます。

また小作地の所有制限がありませんので、経営規模の拡大が図れます。

農地を貸す場合でも、農業経営基盤強化促進法を使うことを考えてみてはいかがでしょうか。

耕作放棄地や遊休農地の活用方法2:農地転用で農地活用

農地転用ができることが前提ですが、農地以外の活用方法もあります。

活用方法としては、駐車場や資材置き場、また初期費用はかかりますが、農地の広さを生かして太陽光発電(ソーラーシェアリング)などがあります。

手順としては、自ら活用方法を決めて、農業委員会へ農地転用の申請をします。

いずれにしても、農地転用は必須事項なので、転用後の目的達成のイメージををきちんと描けることが必要です。

また前述の「一般基準」でもお伝えしましたが、事業計画と資金調達は実現性が求められます。

ここがあやふやだと農地転用は認められませんので注意してください。

駐車場やトランクルームとして活用

駐車場やトランクルームは、ある意味で一番簡単な遊休農地の活用方法といえます。

ただし車を駐めるところが農地の最中に位置していれば、駐車料金を負担してまで、その駐車場を利用する方はまずいません。

そのため立地が第3種農地でなければ、駐車場として活用できるケースはあまりないと考えられます。

太陽光発電(ソーラーシェアリング)として活用

ソーラーシェアリングは農地の上部に背の高い架台を設置し、営農を続けながら太陽光発電事業を行います。

ソーラーシェアリングに適した作物はミョウガ、シイタケ、フキ、ネギ、ニラ、サカキ、センリョウ、タマリュウ(リュウノヒゲ)、花卉類などと意外に多く、水稲(イネ)も実績があります。

以前は農地に太陽光パネルを設置するには、「農振除外」の申請を行い、それから転用申請をする必要がありました。

それが平成25年の3月に農林水産省から農地への設置が認められ、一時転用申請という形で、原則不許可の農地でもソーラーシェアリングの設置が行えるようになりました。

初期費用はかかりますが、もし興味があるなら話だけでも聞いてみてはいかがでしょうか。

太陽光発電は陽当たりや広い面積を生かせることで、まさに農地に向く活用方法のひとつです。

導入にあたっては担当者が付いてくれますので、申請の点も安心できます。

耕作放棄地や遊休農地の活用方法2:農地転用を前提で売却する

最後に紹介するのが、農地を転用する前提で農地を売却するというものです。

農地の売却はなかなか難しく諦めてしまいがちですが、計画がしっかりしたものであれば全く無理なことではありません。

この記事の前半で触れている、農地転用を通すための「農地転用とは」「農地区分とは」「一般基準とは」は、農地を農業従事者以外に売却するために繰り返し読んでもらいたい箇所です。

ここでもう一度ポイントをまとめておきます。

農地を売却するには買主も転用許可申請に立ち会う必要がある

農地を売買するには、まず農業委員会に農地転用を申請しなければいけませんが、これを成功させるためには、農地転用後の「確実性」や「妥当性」を審査する「一般基準」にも受からなければなりません。

したがって農地を売却する場合は、誰が農地を買うのかも決まっていなければなりませんし、原則、買主も転用許可申請に立ち会わなければなりません。

また農地転用を前提とした売買契約も同時に行います。

平成22年6月から農地転用がさらに厳格化したため、以前よりも手続きは増えましたが、致し方ありません。

ただし計画がしっかりしたもので、立地が第2種農地か第3種農地なら、農地転用できる可能性は非常に高いです。

売却計画がある方は是非チャレンジしてみてください。

なお売却の場合は所有権を移転すればそれで終わりですが、貸借の場合は借地権が絡んでくるので、より手続きは複雑化します。

農地バンク(農地中間管理機構)とは

農地バンクは、2014年3月より「農地中間管理事業の推進に関する法律」が施行され誕生した農地の貸付を行う政府の事業体です。

貸付する農地は、離農者の農地や農家が所有する耕作放棄地などで、農地バンクはその利用権を取得し、一般の農家や企業として農業を経営する法人に農地を貸し出します。

当初より目標値を大幅に下回る貸付実績でスタートした農地バンクですが、2015年にはイオンが農地バンクを活用してコメ作りに参入するなど、注目を集めています。

小売り大手などに農地バンクの活用が広がれば、後継者が不足している日本の農業の活性化につながります。

政府としても、非農業分野の企業が農業に参入することを大いに期待しています。

また、このようなダイナミックな動きがなければ、現状50%しか稼働していない農地を、10年で80%まで引き上げるという目標は、容易に達成できるものではないでしょう。

農地を農地のまま、より身近に借りる場合は、農業経営基盤強化促進法を活用した農地の貸借契約がやはり便利です。

農業経営基盤強化促進法を使った農地の貸借は所有制限がなく、経営規模の拡大が図れます。

農地の活用は、より規模の大きな貸し出しに農地バンクを、身近には農業経営基盤強化促進法を活用した使い分けが効果的ではないでしょうか。

農地転用 まとめ

今回は農地転用をテーマに、さまざまな農地活用についてまとめまてみました。

相続時に農地の扱いに困っている方も多く、「タウンライフ土地活用」のように土地の売却や農地活用(土地活用)に関する無料のサービスも急増しています。

また「イエウール」のように農地売却も得意とする無料の不動産一括査定サービスもあります。

もしも農地の新たな活用方法を模索していらっしゃるなら、こうした無料サービスを活用してみてはいかがでしょうか?

土地活用に興味はあるけど、何から始めたらいいの?」という方に最適です。


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