民泊という言葉が盛んに使われるようになったのは、日本に海外からの観光客が押し寄せるようになった、つい最近のことではないでしょうか。

もちろんそれ以前でも、民泊という言葉は使われていましたが、周囲を含めて使う頻度が格段に多くなったのは、やはり外国人観光客が増えたことがひとつのきっかけでしょう。

そして以前使っていた民泊という言葉には、旅行者をもてなす意味で気軽に素泊まりさせてあげると言ったニュアンスがありましたが、今の民泊には民泊ビジネスという要素が含まれるようになったと感じます。

この記事では、主にいま使われている民泊の意味を問いながら、国をあげて取り組んでいる民泊ビジネスチャンスについて考えてみたいと思います。

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民泊とは

民泊とは

民泊上級者が多い旅行ライターやナビゲーターによると、日本以外のアジアやヨーロッパ諸国では民泊施設が進んでいるようで、よく利用しているという言葉を耳にします。

中でも、タイは民泊が進んでいるようです。

また旅の専門家である彼らによると、日本で騒いでいる民泊と民泊文化が進んでいるアジアやヨーロッパ諸国ではかなり違いがあるように感じます。

「日本では安全面と衛生面にやや不安があるので、まだ利用していない」

「台湾では元々マンション一室を大家が一部屋ずつ貸すような場合が多く、民泊に対しての社会の意識も日本より寛容的な気がする」

(「travel.jp/ 民泊とは?」より抜粋)

これらの言葉からも感じることは、日本が懸命に準備を進めている民泊は、ともすると、大きな勘違いをしていそうな気になります。

民泊とは何かということを理解しやすくするため、民宿との対比で民泊を捉えてみます。

民泊と民宿は、似ていそうな部分はそれなりにたくさんありますが、二者の間には決定的な違いがあります。

それは宿泊業を営業しているかどうかです。

民泊はもともと宿泊業を営む形態ではありません。

しかし民宿はこれを営業しています。

違う言い方をするなら、民泊は一時的に人を泊めることはあって、謝礼もいただいたりしますが、宿泊を目的に寝具などの用意は特にしていません。

いっぽう民宿は、人が泊まれる寝具を用意していますし、前もって予約すれば宿泊客用の食事も用意しています。

以前「田舎に泊まろう」というテレビ番組で、芸能人が地方を歩いて何の予告もなく泊まる家を見つけ、翌朝、何らかのお礼をするというものがありました。

あの番組は、確か民宿を営んでいる場合、泊まれなかったと記憶しています。

この「田舎に泊まろう」などは典型的な民泊の例です。

たとえば、田舎体験や農業体験などができる民家があったとします。

最近は、田舎の活性化の目的や移住希望者を募る目的で、普通の民家が宿泊者を泊めて、田舎生活を擬似体験させるケースがあります。

こうした体験型の民泊でも宿泊料を受け取る前提があれば営業行為とみられ、民宿と同じように旅館業法が適用がされることになるでしょう。

つまり広義の民泊は、民家の好意で旅行者が普通の民家に泊まることですが、それには継続的に泊めるための営業行為をしていないことが前提となります。

ただ、これから外国人旅行者が増えて、国内の既存宿泊施設では追いつかなくなってくると、従来の民泊にもビジネス要素が含まれるようになり、現在の日本に民泊ビジネスが生まれました。

そして民泊ビジネスを支える法律として、民泊新法が誕生します。

民泊新法とは

Airbnbなどの、空き部屋を宿泊施設として提供するホストと、宿泊施設を探しているゲストを仲介するwebサービスができていますが、ビジネスとして考えるのには民泊があまりに無秩序な状態にあり、国の対応もこれまで後手に回っていたと言わざるを得ない状態でした。

ようやく2016年の5月19日、安部首相に出された答申で、民泊を全面解禁し、いっぽうで営業日数を「年180日以下」にすることで合意したのが民泊新法です。

ただし民泊新法は営業日数を「年180日以下」にしたことで、民泊ビジネスに本格参入しようと目論んでいた事業者から反感を買うことになります。

後ほど説明しますが、「家主不在型(投資型)」民泊に参入を考えていた方は、ほぼ不可能ということです。

ただ自宅を宿泊施設として民泊ビジネスに参入できると踏んでいた方たちは、民泊をビジネス化すると降りかかってくる問題点に対応する必要が出てきます。

なお、これについては後半の「民泊ビジネスのトラブルや問題点」で触れることにします。

民泊の2類型とは

民泊を全面解禁した民泊新法ですが、民泊新法は別名を住宅宿泊事業法と言い、旅館業法でも特区民泊でもなく、「民泊営業」を規定する新しい法律を目指しています。

また民泊新法上の民泊施設は宿泊施設ではなく一般住宅となり、

  • 家主居住型(ホームステイ型)
  • 家主不在型(投資型)

に分かれます。

つまり民泊新法では「民泊の2類型」を作ったわけです。

「家主居住型」は「ホームステイ型」とも呼ばれ、ホストが住宅内に居住し、住宅の一部の空き部屋や空きスペースを旅行者に使えるようにしたものです。

「家主不在型」は「投資型」とも呼ばれ、ホストが住まない住宅を旅行者に貸したものです。

民泊新法でもたらされる3つのメリットとは

ここで、民泊新法でもたらされる3つのメリットを紹介しておきます。

・民泊ホストや施設管理者が自治体にインターネット上から届出を行うだけで営業が可能
・特区民泊にはある「2泊3日以上」といった最低宿泊日数制限がない
・現行法ではできない住居専用地域でも合法的に民泊の営業ができる

いずれにしても、国をあげて、日本でも民泊ビジネスの支援に舵を切ったことは間違いありません。

民泊ビジネスのメリット

では、民泊ビジネスにはどのようなメリットがあるのでしょうか。

外国人旅行者が確実に増えている

日本に滞在している外国人の数は、東日本大震災時に一時減少しましたが、それからすぐ上昇に転じ、その後も順調に推移していることは数字を見なくても体感で分かります。

東京のような都市だけでなく、地方でもここ最近の外国人の多さにびっくりさせられます。

この増え方、往来の多さは、日本に震災クラスの災害がまた起こらない限り、定常的に変わらないのではないでしょうか。

と同時に、宿泊ビジネスや民泊ビジネスはチャンスを迎えていると言えるでしょう。

多くの外国人とコミュニケーションが取れる

外国人が増えたことで、外国語を使ったコミュニケーションをとる機会も増えました。

私が子供の頃と比べれば雲泥の差です。

いろんな国の人が増えていけば、テロの危険性は確実に増しますが、それを除けば良いことだと思います。

民泊を支援するAirbnbなどが使えること

民泊を支援するウェブサイトはいくつかありますが、やはり有名なのはAirbnbでしょう。

Airbnbはホストとして宿泊施設の情報の掲載は無料なので、契約成立時に差し引かれる手数料は仕方ないと考えれば、ずいぶん安価なサービスだと分かります。

もちろん気をつけなければいけない点もありますが、民泊支援サービスの拡大も民泊ビジネスにつながるメリットといえます。

民泊ビジネスのトラブルや問題点

民泊は様々なメリットをもたらすことがわかりましたが、ビジネスとしての民泊は法律の整備を含め、まだ課題が多く残されています。

旅館業法等の許認可

民泊をビジネスとして本格的に行うということは、旅館業法の許認可を受けなければなりません。

つまり都道府県から「旅館業」を営むという認可を受けるということです。

そして認可を受けるには、建物や設備にも認可を通すための基準があります。

複雑な部分も多く、一般住宅を流用する場合には、準備に多大な労力が必要となります。

ビジネスとしてはじめる場合は、まずはじめに調べたほうが良いと思います。

火災保険を見直す

これから旅館業を始めると言っても、建物については特にこれまでと変わらないかと思います。

そのため火災保険も一般住宅として火災保険を継続すれば大丈夫だと思っている方もいらっしゃると思います。

ただ、同じ建物でも住宅ではなく旅館として保険をかけなければ、いざという時も、保険金が降りず困ることになります。

旅館は非常に火事のリスクも高く、建物も木造がほとんどだと思いますので、保険料は驚くほど高くなると覚悟してください。

旅館の認可が取れたら、火災保険の切り替えを済ませておきましょう。

また火災保険に限らず、生命保険等も書き換える必要があるか確認が必要です。

万が一保険金がおりないことがあっては困ります。

さらに旅館業を営むということは、不意の事故や怪我などのリスクも大きくなる恐れがあります。

そうなると傷害保険も見直す必要が出てきます。

賃貸住宅を民泊ビジネスで使うとどうなる?

賃貸住宅を民泊ビジネスで使用した場合、普通賃貸借契約ができなくなります。

どうしても民泊ビジネスを始めたい場合は、事前に不動産会社に確認することをお勧めします。

おそらく賃貸契約は白紙に戻さなければならないと思います。

このように民泊ビジネスを始めようと思っても、様々なことが障壁になり、一挙にやる気を削がれた方もいらっしゃるでしょう。

残念ながら、2016年に国が提言した民泊ビジネスの解禁は、例外はあるでしょうが、自宅とは別に宿泊施設がなければ実行が難しいかもしれません。

旅館業法の難しさと民泊の新しいルール作りについて

一般的に旅館業法は規制緩和が難しく、一般住宅からの宿泊施設の流用は困難というイメージがあります。

そこで国は、民泊を拡大するため国家戦略特区の設置や政令改正で規制緩和を進めていこうとしています。

ここでは民泊の新しいルール作りでもある国の規制緩和の例を紹介してみます。

簡易宿泊施設のフロント設置を不要とする規制緩和

近年、日本を訪れる外国人旅行者が増えており、ホテルなどの宿泊施設不足を補う目的で、国は簡易宿所で許認可を受けやすくする旅館業法の運用緩和を行なっています。

そのひとつが簡易宿泊施設(カプセルホテルや民泊施設)のフロントを不要とするものです。

この規制緩和により、福岡市や徳島県では簡易宿泊施設のフロントを不要としていますが、自治体によっては従来通りフロント設置を求めるところも出ています。

浅草がある台東区では

「営業時間内は従業員を常駐させる」
「玄関帳場その他これに類する設備を有する」

といった旅館業法施行条例改正案を議員提案し、全会一致で可決しました。

このように自治体によってフロントを不要するところと、フロント設置を求めるところがあり、その違いがあることが興味深いと考えます。

ただフロント設置の有無については、一般住宅が民泊ビジネスに参入しやすくするための規制緩和なので、フロント設置を求めるということは、台東区は民泊ビジネスが不規則に広がることに否定的なのかもしれません。

一般住宅を合法的に民泊運営できる民泊新法

一方で、先ほど紹介した民泊新法を活用することで、合法的にホストが住宅を民泊に使えます。

用途地域は住居専用地域に絞られますが、住宅を民泊運営できるとしたことは画期的です。

賃貸住宅を民泊施設にすることは難しいですが、持ち家の民泊運営は基本的に可能です。

問題は火災保険ですが、ここがクリアになれば住宅を民泊に使うことは可能となるでしょう。

ただし民泊新法は展開エリアには注意する必要がありますし、他の法律とバッティングしなければというころが、依然として気になります。

民泊と空き家活用の可能性

「増え続ける空き家を民泊に流用できないか」という提案は以前からなされていました。

しかし現状ではそれほど大きくは進められていません。

なぜなら一般住宅は旅館業法上の規制もあり、私たちが想像するようには簡単に民泊施設に利用できないからです。

ただ民泊新法は2017年度に、もう一度新たに国会に提出されます。

それを待ってから再考しても遅くはありません。

それより先に取り掛かることは、空き家を大きく分類し、民泊に使えるものと使えないものを区分けすることです。

またリフォームが必要なものと不要なものとも区分けしなければなりません。

旅馴れた海外旅行者にも喜んでもらえる宿泊施設を目指すなら、やはりそれなりの投資は必要です。

いざ空き家を民泊施設として本格始動させる近い将来に備えて、できる限りの準備を進めておくのです。

民泊 まとめ

日本の民泊について簡単にまとめてみたのですが、今はまだ方向性が定まっていない印象がどうしても付きまといます。

民泊ビジネスを正しく導くには、専門家の意見をもう少し参考にしなければいけないと考えます。

民泊化を決して慌ててはいけないでしょう。

どうせ日本は後発組みなのです。

じっくり進めていけば良いと思います。


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