この記事では中古住宅を売りやすくするための「ホームインスペクション」について紹介します。
住み替え・買い替えを検討している方にとっては、ホームインスペクションを知っていると、売主としてだけでなく、買主としても次の家を安心して購入することができます。
ホームインスペクションとは
ホームインスペクション(inspection:検査)とは、建築士などプロによる住宅診断のことです。
住宅に精通した専門家であるインスペクター(検査士)の見地から、建物の欠陥の有無、劣化状態、リフォームや改修の必要性などをチェックしてもらいます。
第三者による客観的な検査を受けることで、欠陥を確認し、リフォームの必要性やおおよその改修費用を把握することもできます。
このホームインスペクションですが、欧米では常識のサービスとなっています。
なぜホームインスペクションを受けると中古住宅が売れやすくなるの?
中古住宅を高く早く売りやすくする方法があります。
それは
- 「ホームインスペクション」を行い
- 「既存住宅売買瑕疵保険」に加入できるようにし
- 「住宅履歴」を整備すること
中古住宅の購入を検討している買主にとっての不安要素といえば
「建物や設備の状況がわからない」
「耐震性がわからない」
「保証が短い(もしくは無い)」
ということです。
しかし逆を言えば、こうした不安要素が解消された物件ならば、買主は相場より多少高い金額であったとしても、気に入れば購入してくれます。
上記3つの方法を行うことで
- 物件に付加価値がつく
- 家の詳細な状況が分かる
- 家の安全性が証明される
ため買主も購入しやすくなり、場合によっては相場よりも高く売却できます。
上記3つの方法は「一戸建て」「マンション」どちらの場合でも利用できます。
「設備や性能にこだわった家なので高く売却したい!」
「築年数は古い家だけど、外壁塗装やリフォームなどメンテナンスを定期的に行ってきたので高く売りたい!」
という売主におすすめです。
費用は3つ全て合わせると10~18万円程度かかりますが、少しの出費で数百万円アップを狙えるならば、考えてみる余地はあるのではないでしょうか。
もちろん「ホームインスペクションだけ」「既存住宅売買瑕疵保険だけ」と予算や物件条件に応じて選択するのも1つの方法です。
ホームインスペクションの利用の流れ
ホームインスペクションは対応している設計事務所などに依頼するのですが、関連協会のHPではインスペクターを検索できるようになっています。
▼NPO法人 日本ホームインスペクターズ協会
https://www.jshi.org/
▼一般社団法人 住宅管理ストック推進協会
http://www.jyukan.org/
申し込み後、検査日時を決め、依頼者立ち合いの下で検査は行われます。
検査当日は屋根、外壁、室内、床下などの劣化状態を目視で診断します(一次診断)。
また別料金になることもありますが、機材を使う詳細診断もあります(二次診断)。
【一戸建ての場合】
「基礎に鉄筋は配してあるか」「木部の腐食はないか」「シロアリの被害はないか」など
【マンションの場合】
「給排水管の不具合はないか」「雨漏りの痕跡はないか」「床の傾きはないか」など
ホームインスペクションの費用
費用は会社によって異なりますが、目視による一次診断の場合は5~10万円が相場となっています。
所要時間は住宅の規模によりますが、一般的な30坪程度の一戸建ての場合、2~3時間みておけば大丈夫です。
診断の数日後には詳細な報告書が送られてきます。
この報告書があれば建物の健康状態を知ることができるため、買主にとって購入の判断材料になるだけでなく、リフォーム費用を考慮する際の材料にもなります。
ホームインスペクションの義務化
2016年5月、宅地建物取引業法改正案が国会で成立しました。
これにより2018年4月から中古住宅の取引の際に、ホームインスペクションの説明が義務化されることになりました。
改正案により「ホームインスペクションが義務付けられた」と誤解されている方もいますが、実際は宅地建物取引業者に次のことを義務付けたものです。
- 中古住宅の売買を不動産屋に依頼し、媒介契約を交わす際に、ホームインスペクション事業者を斡旋できるかどうかなどを媒介契約書に記載すること
- 売買契約締結前に買主に行う重要事項説明の際に、ホームインスペクションが実施された場合はその結果について説明すること
- 売買契約を締結する際に、インスペクション・ガイドラインで診断すべき基礎や外壁の状態、雨漏りの状態などを売主・買主双方で確認し、その内容を書面にして双方に交付すること
簡単に言うと「1」は家の売却を不動産屋に依頼する際に媒介契約を結びますが、その際に
「対象物件はホームインスペクションを受けたことがありますか?」
「まだならホームインスペクションを受ける意向はありますか?」
と確認されることになります。
「2」は買主に家の状態や価格の妥当性を納得した上で購入してもらうのに役立ちます。
「3」はホームインスペクションなど第三者調査機関の調査結果が対象となり、売主・買主双方で確認をすることになります。
ホームインスペクションを活用してくれる不動産屋を探そう
せっかくホームインスペクションを受けるなら、この診断結果を有効活用してくれる不動産屋を探す必要があります。
また媒介契約を結ぶと建物診断が無料サービスとしてついてくる不動産屋もあります。
実際、我が家の場合も、売却をお願いした不動産屋より専任スタッフが派遣され、約3時間かけて家の傾きや床下などを無料検査しつつ評価書を作成してくれました。(→我が家の一戸建て売却体験談)
不動産屋と媒介契約を結ぶ前に「ホームインスペクションのサービスはありますか?」と聞いてみるのもおすすめです。