投資には金融投資のほかにも不動産投資があります。

この記事では不動産投資のひとつ、土地信託についてご紹介していきます。

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土地信託と投資信託は似て非なるもの

土地信託と似ているものに金融投資の投資信託があります。

投資信託は、リスク分散の考え方から、ひとつの商品に複数の投資対象(株式、債券、デリバティブなど)を用意しています。

また投資をする投資家の数もひとりではありません。

一方、土地信託は何筆(※)かに分かれてはいても信託する土地はひとつで、運用を依頼するのは一社になります。

呼び名は似ていますが、二つの違いはかなり開きがあります。

土地信託が何かを知るためには、意外とこうした比較が有効かもしれません。

※不動産権利の単位「筆」とは

不動産の権利関係を考える際に使う単位は「筆」(ひつ/ふで)です。

土地の場合でも、建物の場合でも、一筆、二筆、三筆…と数えます。

筆とは、不動産の権利のまとまりを指します。

同じ「筆」の不動産は「まとまっている」状態なので、(登記上)所有者や地目は必ず一致します。

分譲マンション(区分所有建物)などは、原則的に1部屋ごとに1筆となっています。

土地信託とは

土地信託

土地信託について説明する前に、そもそも信託とは何なのか?

ここからお伝えしていきます。

そもそも信託って何?

信託とは、委託者が信託行為(契約行為や遺言)によって、信頼できる受託者に対して、金銭や土地などの財産を移転することです。

土地信託の場合は土地となります。

そして委託者が設定した信託目的に従って、財産(信託財産)の管理・処分など行います。

つまり信託には委託者(土地の所有者)がまず存在し、信頼できる受託者(信託銀行や信託会社)に土地などの財産を移転します。

そして受託者(信託銀行や信託会社)は委託者(土地の所有者)が設定した信託目的に従い管理・処分など行います。

信託銀行や信託会社が目的に従い管理・処分を行うのは受益者のためですが、受益者が誰かがここでは分からないままです。

実は、ここで言う受益者は委託者と同一人物です。

「委託者(土地の所有者)」=「受益者」で同一人物です。

委託者は信託契約をすると信託受益権を取得し、同時に受益者になります。

したがって信託に必要な人員は、大きく捉えると委託者(=受益者)と受託者(信託銀行や信託会社)の2名いれば成立するのです。

土地信託は今どきの不動産投資ではない?!

信託という定義は非常に古く、今の経済情勢に合致した投資とは言えなくなってきています。

第一、大切な資産を「信じて託す」ことができるのは、親族代々が使ってきた金融機関でもなければ無理なことです。

そのため信託が使えるのは、そういう付き合いが銀行との間に存在する資産家に限られてきます。

託す土地も、土地であればどのような物件でも認められるわけではありません。

ある程度は利益を見込める土地でなければ、信託会社から断られてしまいます。

利益が見込める土地は、都内であれば都心の一等地になりますし、住宅地であれば高級住宅地が並ぶブランド地域にある土地です。

そのような土地に物件を所有し、且つ運用について悩んでいる方というのは限られた資産家であり、今どきの不動産投資方法とは言えません。

土地信託や信託契約に伴う注意点について

前置きが長くなりましたが、では土地信託がどういう仕組みになっているか、簡単にまとめておきます。

土地信託と言っても特別な建物を建てるわけではない

上述でも触れましたが、土地信託は委託者(土地の所有者)と受託者(信託銀行や信託会社)がいれば契約できます。

一般的には土地に建物を建築して収益を生み出します。

土地の立地によって商業施設が適している場合はそれを提案することもありますが、手堅く賃貸物件を建築することが多いのです。

土地信託というと特別な建物を建築するイメージがあるかもしれませんが、そうでもありません。

信託銀行の提案書には

「法規制、周辺環境、近隣相場、対象地の地形や道路状況等などを詳細に分析し、委託者の意向を踏まえたプランを提案します」

などとの記載がありますが、土地に不動産物件を建てる場合は、これら現地・現況調査からプランの提案はどこでもやっていることで、一般に注文住宅を建築する場合でも同じです。

期待の腰を折るようですが、土地信託と言っても、建築上特別なことはやっているわけではありません。

事業リスクは全て受益者(=委託者)がみなければならない

ただ一般の建築との違いは、土地信託は信託契約を信託銀行と結ぶと、土地の所有者である委託者は信託受益権を取得し受益者となります。

そして、ここが一番の違いですが、委託者(受益者)は土地の所有権を受託者に移転し、この状態は信託契約が終了するまで継続します。

つまり土地の所有者が信託銀行や信託会社に変わるのです。

土地の所有権が変わりますので、固定資産税・都市計画税などは信託銀行などが納付します。

ただ、賃貸事業に係る税金は受益者負担となり、事業リスクについてもすべて受益者が負担します。

たとえば賃料収入が減少するなど、損失が発生した際は、受益者に必要な資金が求められます。

土地信託での受益者とは「受損者」でもあるのです。

土地信託の報酬はあくまで実績配当

もうひとつ注意しなければならないのは、事業収益は配当で受け取りますが、それはあくまでも実績配当だという点です。

配当なので、良くても一般の収益より少なく見込まれ、且つ業績が悪いとゼロもあり得ます。

土地の所有権も移したのに、もらえる配当は実績によるのですから、土地信託の人気がなくなるのもわかります。

意外に多い土地信託のメリット

そうは言っても、土地信託にもメリットはあります。

ここでは土地信託に関わるメリットについてお伝えしていきます。

受益者(委託者)は事業に関与しなくても良い

土地信託において、受益者(委託者)は事業者リスクを負担しなければなりませんが、事業に関しては何も分からなくても大丈夫です。

土地所有者ではあるが、受益者(委託者)は自ら事業計画・建物・資金計画を組まなくても良く、すべて信託銀行や信託会社に任せられます。

このように100%事業に関与せず、うまくいけば配当報酬が得られるのは土地信託だけのメリットではないでしょうか。

建築費用は信託銀行や信託会社が調達してくれる

建築費用は信託銀行や信託会社が調達し、物件の運営管理もしてくれるので、賃貸経営の事業経験がない人でも安心して計画を任せられます。

事業のために自分名義でローンを組む必要がない

土地信託なら、受益者は建築費用のためにローンを組む必要もありません。

信託契約が終了した時点でローンが残っている場合は残債を引き継がなければなりませんが、事業がうまくいけば、最終的にローンなしで建物を引き継げます。

賃貸物件を建てると信託した土地の固定資産税や都市計画税が軽減される

信託した土地に賃貸物件を建てることになれば、住宅用地の特例で固定資産税や都市計画税が軽減されます。

契約期間が終了しても建物が立っている間はずっと減税効果は継続します。

土地は信託契約が終わると所有権も戻る

信託終了時に土地・建物はそのままのかたちで引き継がれます。

つまり土地の所有権は建物付きで戻ってくるということです。

また信託内容に不満がある場合は、最終的に土地を売却することもできます。

土地信託のデメリットやリスクについて

それでは、次に土地信託のデメリットやリスクについてみていきましょう。

土地信託は土地の所有権を移転しなければならない

土地信託というと、受益者(委託者)は、受託者側である信託銀行や信託会社側に土地の所有権を移転しなければなりません。

土地の権利を一旦失うことは、所有者にとってはやはり疑問に思う点ではないでしょうか。

信託銀行のほうも、多分そういう不安な気持ちを察して、ウェブサイトで目立つ書き方をしていないのだと思います。

もちろん契約期間が終了したら土地は建物付きで返還されますが、一時的にでも所有権を外さなければいけないのが土地信託の特徴です。

これが通常の賃貸経営になると、土地の所有権はもちろんそのままです。

上手く借主がみつかれば、後は運用するだけです。

しかも不動産会社も仲介にはいっていますので、管理運営はほとんどノー・タッチで済むはずです。

なぜ土地信託を選ぶのか、不思議に思う方もいるはずです。

わざわざ、土地の所有権を外してまで選ばなければいけないということ自体が、土地信託のデメリットであり問題点なのです。

土地信託は事業リスクも土地を失った受益者がみなければいけない

契約期間中は土地を失うのですから、事業損失は被らなくても良いというなら分かりますが、土地信託は土地を失うばかりか、事業リスクもみなければなりません。

ここでいう事業リスクとは、ほとんどが賃貸事業のリスクなので、賃料減少などの要因で損失が発生した場合は、その補填をさせられかねません。

土地の所有権を移転しますので、賃貸事業はリスク補填を含めて事業の受任者に責任があるのが本当でしょう。

ところが土地信託では、事業運営に必要な資金を受益者に提供してもらうケースもあるのだとしています。

実際に賃貸経営が順調に推移すればリスクを負う心配は無くなりますが、これから人口が減少する世の中になりますので、賃貸リスクが生じる確率は今後増えることが予想されます。

そうなると、土地信託の事業リスクも等しく増大することになるはずです。

賃貸事業に係る税金は全て受任者の負担

受益者(委託者)は土地の権利を失いますので、固定資産税や都市計画税は信託会社や信託銀行が支払いますが、事業に係る税負担は受益者(委託者)がみなければないけません。

信託契約中はまだ物件の引き渡しを受けていませんから、考えてみればこれも不思議な点です。

受益者の利益はマイナスの利益も含んでのことかもしれませんね。

報酬は事業がうまくいかなければ無配当となる場合もある

土地信託で得られる収益は実績配当なので、事業成績が良ければ配当は増えますが、逆の場合は減っていきます。

もちろん、実績配当なのでゼロもあり得ます。

土地信託をメインの収入にしている方はいないと思いますのでまだ良いですが、そうでなければ、解約希望を言い出す方もいるはずです。

ところが、土地信託は一旦契約してしまうと、簡単には解約はできない仕組みになっています。

土地信託をいま積極的に勧めている会社はないと思いますが、何かのきっかけで土地信託を勧められることもあるでしょう。

土地信託は一度契約してしまうと、簡単には解約はできない点は覚えておいてください。

土地信託と投資信託との比較の続き

冒頭での続きをもう一度してみます。

それは、土地信託と投資信託との比較です。

投資信託はひとつの商品でも複数の投資対象があり、ある意味で楽しめる要素も含まれています。

投資信託も信託投資の一種なので、たしかに元本割れすることもありますが、ほかの投資ジャンルに比べてもリスクは少ないと言えるでしょう。

そのため初心者は大抵この投資信託を経験してから、株やデリバティブに移行していきます。

一方、土地信託は投資信託のように事業初心者でも楽しめるように、すべて信託銀行に任せられるようにつくられていることは、土地信託のメリットのところでも触れています。

それでも蓋を開けると、事業リスクは土地所有者によってカバーしなければなりません。

また土地信託の信託報酬は実績配当となっています。

つまり実績によっては報酬ゼロもあり得るのです。

しかも土地信託は追加で資金提供を求められた時は、それに応じなければなりません。

同じ投資商品になりますが、もしも家族や友人に勧めるとしたらどちらを選ぶか、自ずと決まってくるでしょう。

これほど投資家に過剰なリスクを求めてくるのは、サブリースと土地信託ぐらいです。

どちらにも共通していることは、解約がし難いことと、投資の素人でも代行してくれる業者がいるので安心だという営業トークです。

自分で勉強しないで始められる投資ジャンルには、かならず隠れたリスクがあると思ったほうが良いです。

土地信託 まとめ

「たとえ勧められても、契約は慎重に」と助言したくなるのが、サブリースと土地信託です。

幸い、土地信託は今は盛んではありませんので、契約を勧められることは少なくなっています。

ただし、きっかけはどこに転がっているかは分かりませんので、始める場合は慎重に判断して下さい。

いずれにしても「面倒なことはこちらがやりますので、安心して任せてください」という投資は、できるだけ避けるのが賢明です。


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