土地活用といえばマンション経営やアパート経営が昔から有名ですが、建築費をはじめとする初期費用は決して安いものではありません。
そこで、土地活用を始めてみたいけれど初期費用は安く抑えたい方におすすめの土地活用方法を3つご紹介します。
駐車場経営の初期費用とはじめやすさ
手軽にはじめやすい土地活用方法としてまず知られているのが、駐車場経営ではないでしょうか。
相続税対策として土地活用をする場合は、法律にのっとり多少の整備が必要ですが、それでも初期費用を抑えてはじめやすいことに変わりはありません。
初期投資が少ないということはリスクが低いということであり、仮に満車にならなくてもダメージは小さく抑えられます。
1:立地条件に左右されにくい
土地活用方法としてアパート経営やマンション経営を選択した場合、その収益性は立地条件が大きく関係します。
駅から徒歩10分を超える距離のある場合には入居者がなかなか現れない可能性が高く、ビジネスとしては不向きと考えられます。
一方、駐車場は駅からの距離をさほど考慮する必要がありません。
2:初期費用0円から始めることも可能
代表的な土地活用の方法として、アパート経営・マンション経営が挙げられます。
アパートやマンションの建築には当然ながら多額の、場合によっては億単位の初期投資を必要とします。
一方、駐車場の場合、なかでも平面駐車場やコインパーキングの場合は0円~数十万円で始めることが可能なため、初期投資額を大きく抑えることが可能です。
初期費用は地域や業者によって異なりますが、参考までにご紹介します。
未舗装の整地費用
舗装されていない土地の場合は「整地費用」がかかります。
車は重いので、地盤を強固にするため、平坦に土を削り取り、その上から砕石を敷き詰めて転圧する工事が必要です。
掘削+残土処分費、砕石実費+敷き詰め、転圧費用の合計が整地費用です。
その他、重機の使用料や回送費、作業員の日当などが上乗せされていきます。
条件により変わってきますが、200㎡の整地費用は290,000円前後を目安に考えられると良いと思います。
アスファルト舗装
アスファルト舗装は、未舗装の整地と同じように、土を掘削して砕石でならし、その上から舗装します。
未舗装の整地と比べ、砕石の量は大きく変わりませんが、掘削と残土処分が約1.5倍になりますので、その分費用は高くなります。
加えてアスファルト舗装の施工費用が必要ですが、3,000円/㎡前後、整地と併せて4,000円/㎡~5,000円/㎡ が目安になります。
コンクリート舗装
コンクリート舗装も工程としてはアスファルト舗装と同様です。
ただし深く掘削する必要があり、未舗装の整地と比べ掘削と残土処分は約2倍になり、その分費用は高くなります。
またコンクリートは収縮でひび割れる性質を持ち、駐車場の広さになると、適度な間隔で収縮を吸収する目地(スリット)を作ること、ワイヤーメッシュという金網状の補強材を入れることなどから、アスファルトよりも手間が多く単価は高くなります。
トータルでは、整地込みで5,000円/㎡~10,000円/㎡が目安となります。
ライン引き・車止め
アスファルト舗装やコンクリート舗装では、白い区画ラインを引かなくてはなりません。
必要なら、区画に番号を付けることも同時に可能です。
ライン引きはm単価よりも、一定距離までを一式価格にしている業者が多く、業者にもよりますが、10台程度のライン引きで50,000円程度です。
番号を付ける場合は、文字数×数百円の単価で請け負っている業者が多いです。
車止めについては、1個3,000円程度です。
3:経営に手間がかからない
アパートやマンションの場合、入居者の募集、退去者が出れば空室にリフォームをかけ入居者の再募集、古くなれば建物の大規模修繕なども行わなくてはなりません。
一方、駐車場経営の場合は、基本的に借りてがみつかれば何もする必要はありません。
コインパーキングの場合も機械を設置した後にかかる手間はあまりありません。
また利用料の単価などから考えて、滞納のリスクが少ないといったメリットもあります。
4:転用が比較的簡単にできる
駐車場の場合、将来的に土地の売却を検討されていたり、その土地に自宅を建築する予定があったりと、他の活用方法に切り替える可能性がある方にも適しています。
アパートやマンションのように建物を建築するタイプの土地活用の場合、転用をするためには建物を取り壊す必要があり、当然ながら長い時間と多額の費用が発生します。
一方、駐車場は整地された土地に設備を導入しているだけなので、短期間かつ少額で元に戻すことが可能です。
またアパートやマンションを転用するために取り壊す場合、もちろん入居者に立ち退きしてもらうのですが、ここで問題となるのが「借地借家法」という規定です。
賃貸借契約をしてその建物を借りている人は、この「借地借家法」により守られているため、正当な事由がない限り立ち退きをしてもらうは困難です。
一方、駐車場の場合はこの「借地借家法」の適応外であるため、容易に利用者の立ち退きをしてもらうことができます。
また「借地借家法」の適用外であるため、狭小地や変形地でも活用ができます。
5:相続税対策にも有効
駐車場や更地は現金化しやすいため、相続人が複数の場合や相続税の支払い期限が迫っている時には即座に対応することが可能です。
また砂利を敷いているような駐車場ではなく、コンクリートやアスファルトが施されていて一定の条件を満たしている駐車場なら「貸付事業用小規模宅地等の特例」を適用することができ、200㎡までの面積であれば50%の相続税の軽減が適用されます。
太陽光発電の初期費用とはじめやすさ
●住宅用(10KW未満)は、平成24年7月の固定価格買取制度開始以降、平成25年10月末時点で、183.9万KWが運用開始。
●非住宅用(10KW以上)は、382.7万KWが運転開始。メガソーラー(1000KW以上)や、遊休地を活用した中規模太陽光(10KW以上500KW未満)について、全国各地で計画・建設が進むなど、非住宅用の市場が大幅に拡大している。
出典「最近の太陽光発電市場の動向及び前回のご指摘事項について」(経済産業省資源エネルギー庁)
1:田舎ほど有利な太陽光発電
田舎の土地は買い手がみつかりにくく、高値での売却が難しいです。
またマンションやアパートを建設しても空室になるリスクが高いです。
しかし太陽光発電においては、周辺に建物がない田舎ほど有利という逆の側面を持っているため、田舎の新たな土地活用の手段としても注目されています。
そして都市部でも田舎でも太陽は同様に大地を照らすので、地価の安い田舎でも収益が落ちない特性を持ちます。
2:国の政策の一つなので市場が拡大しやすい
化石燃料の枯渇が懸念されてから、国は再生エネルギーへの転換を政策としており、その中の一つに太陽光発電があります。
国は太陽光発電の普及意欲を促進するため、投資する設備費に対して長期的に利益が生まれる買取価格を設定しました。
その基準は、約10年間で設備費の回収ができる計算になっています。
設備費用は年々減少しており、それにつれて買取価格も下落していますが、10年で回収という基準は変わっていません。
基準モデルは、10年あれば元を取れて、以降は導入者に純利益をもたらす仕組みで考えられているのです。
3:調達コストは0円
太陽光発電ではエネルギー源が無限に降り注ぐ太陽光なので、調達コストが全くかかりません。
なお太陽光発電の設備が安価になったことで、国の補助金制度は打ち切られました。
ただ各自治体においてはまだまだ補助金制度が残っていますので、該当する地域なら初期コストを減らすことができます。
4:メンテナンスの労力が少ない
屋外に設置する設備なので、土埃の汚れや、舞い落ちた枯葉などが表面に付くのは避けられません。
そのため定期的に清掃をするに越したことはありませんが、それ以外の日常的なメンテナンスを必要としないので手間がかかりません。
トランクルーム経営の初期費用とはじめやすさ
実はトランクルームの需要は急増しています。
『2013年版 拡大する収納ビジネス市場の徹底調査』(矢野経済研究所)によると、トランクルームをはじめとするストレージ事業(収納ビジネス)の国内市場規模は、
2009年度の401.1億円から
2015年度の535.4億円へ
年率4~8%の成長加速で拡大しています。
リフォーム工事の間、家財道具を保管するために利用したり、自宅に置ききれなくなった趣味や仕事のものを保管したりと、法人利用だけでなく個人利用も増えています。
1:どんな土地でも有効活用が可能
- 駅から遠い
- 地形が悪い
- アパートやマンションを建てるには土地が狭い
- 日当たりが悪い
このように高値での売却が難しい土地や、マンション・アパート・駐車場経営が困難な土地でも、屋外型トランクルームなら有効活用できます。
トランクルームは活用が難しい空き地を活かす、優れた手段なのです。
2: 運営方法は選択肢が多い
トランクルームの運営方法は次の3つがあります。
- 自己運営
- フランチャイズ
- 一括借り上げ(サブリース)
利益率、手間、リスクなどを総合的に見極めて選んでいきます。
ただ近年は土地の有効活用、ビルの空室対策、事業収益の多角化などの観点から、都市部・郊外問わず参入する企業が相次いでいます。
「エリアリンク」「ライゼ」などが大手企業として挙げられます。
もちろん契約内容は様々ですが、トランクルームのユーザー募集・契約・賃料の集金をはじめ、施設の清掃やメンテナンスなど、運用・管理業務の全てを代行してくれる企業もあります。
土地所有者のあなたは土地を貸すだけで、空き地を長年にわたり有効活用できるのです。
3:初期費用0円から始めることも可能!
上述の運用方法にもよりますが、フランチャイズや一括借り上げの場合、土地に企業が用意したトランクルーム用のコンテナを置くだけなので、初期費用0円から始めることも可能です。
また自己運営にしても、マンションやアパートのように建物を建築する必要はなく、コインパーキングのように駐車場設備を整える必要もありません。
基本的にはコンテナ代と電気代(照明を付けた場合)くらいで始めることが可能です。
居住用ではないので水道設備も必要ありません。
初期費用を安く抑えられる分だけ、利回りが比較的早く、投資回収も早いです。
トランクルームは荷物を保管するシンプルなビジネスなので、クレームに発展するケースもほぼありません。
4:所有物件に組み合わせて開業も可能
もしも今、月極駐車場を経営しているけれど満車になっていない場合、駐車場スペースと空き地を整理することで、空き地スペースにトランクルームを開業することもできます。
その他、クリーニング店やコンビニ等の経営に附帯させることも可能です。
5:相続税対策にもおすすめ
人が住まず、営業権もないので、売買や取り壊しも比較的容易に行えます。
相続税評価額も下がるので、必然的に課せられる相続税額も減ります。
土地活用は初期費用を抑えて始められる!
以上、初期費用を安く抑えて始められる土地活用方法を3つご紹介しました。
もちろん今後の需要や市場の伸び率により収益性は変わってきますし、法改正により節税度合も変わってくるので、メリット・デメリットは慎重に見極める必要があります。
ただ従来のアパート経営やマンション経営が飽和状態になっている今、「投資金額が少ない」「高利回り」な駐車場経営・トランクルーム経営・太陽光発電の経営は魅力的な選択肢となりえます。
あなたの土地の状況、資産状況、ライフスタイルなどに合わせて最適な土地活用方法を見つけてください。