「住宅ローンが払えない…」
「3ヶ月以上住宅ローンの支払いを滞納している…」
そんな場合は、早急に任意売却を専門家に相談されることを推奨します。
任意売却とは
任意売却とは、住宅ローンの支払いが困難な場合に、債権者の合意を得て家や土地を売却する方法です。
略して任売(にんばい)と呼ばれることもあります。
本来、不動産を売却する場合は残っている借入金全額の返済を売却と同時にしなければなりません。
不動産には「抵当権」(借金のカタになっている)がついているため、勝手に売却することはできないのです。
もし不動産を売却しようとして、その売却金額が残債(残っている借入額)を下回る場合には、不足分を手持ちから出さないと売却できません。
しかし住宅ローンを滞納している状態で、さらに不足分をポンと出すことはなかなか難しいですよね。
そこで任意売却という手段をとれば、債権者の合意のもと、抵当権を解除してもらい不動産を売却することが可能になります。
そして売却代金から経費を控除したうえで、残った金額だけを一旦返済するという方法です。
つまり任意売却なら、借入額全額を支払わない段階で不動産を売却することが可能なのです。
もちろん本来返済しなければならない金額を一部分しか支払わずに売却するので、銀行など債権者の同意が必要であることは言うまでもありません。
その代わり、強制執行される競売とは異なり本人の意思で売却できる方法なので、競売よりも高く売ることが可能です。
では次に、任意売却のメリット・デメリットを詳しく説明していきます。
任意売却のデメリット
任意売却は保証会社と専門の不動産担当者が交渉しながら行われます。
本来なら返すべきお金を一部分しか払わずに売却をするので、信用情報に履歴が残ります。
任意売却のメリット
1:競売よりも高くれる可能性がある
任意売却は、通常の不動産売却と同様に一般の市場で売却活動を行えます。
競売の場合、内見(内覧)という室内を見る機会がないこともあり、一般人ではなく不動産業者が落札することがほとんどです。
そのため落札金額は物件の相場より低くなり、約7割ほどというケースが多いです。
一方、任意売却であれば相場に近い金額で売却することができるので、債務の圧縮が可能です。
2:住宅ローンの支払いを止めたまま、短期間で売却活動ができる
競売の場合、差押えの申立をされてから入札開始まで一般的に6ヶ月~8ヶ月程の期間が空きます。
一方、任意売却は買主さえ見つかれば、あとは手続きを行うだけなので、短期間で売却をすることが可能です。
3:引越しの日程や費用の面で融通が利く場合も多い
任意売却は銀行など債権者の協力が必要です。
そして、債権者は残債務をなるべく多く回収したいという想いがあります。
任意売却を行うことで、競売よりも多くの回収金額を見込めるため、話し合いにも良好な関係で対応してもらえることが多くなります。
たとえば任意売却後も住宅ローンが残った場合は支払いが必要ですが、一括返済が原則の競売と異なり、任意売却の場合は債権者と交渉して月々分割支払いが可能です。
また競売にかけられた場合は強制的に追い出されるので、引っ越すタイミングも自分たちでは決められません。
その点、任意売却で債権者と良好な関係を築くことで、引越し日や引越し費用を確保することも可能です。
4:近所の人に知られても精神的な負担が少ない
競売の場合、あなたの不動産が競売にかけられているという情報がインターネット上に公開されてしまうので、住宅ローンの支払いが滞っていることが推測されてしまう恐れがあります。
一方、任意売却であれば通常の中古物件の売却と同じような見せ方ができるので、もし近所に知られても精神的な負担が軽く済みます。
任意売却により住宅ローンの負担軽減に成功した事例
任意売却前
【背景】
- 主婦の方からの相談
- 夫が元職場で病気を原因に減俸
- 転職したものの年収が約4割減に
- 住宅ローンを滞納し始める
- 他でキャッシングをし一時凌ぎをするも悪循環に
- 妻も働き始めたが小さい子供が2人おり、稼げても月に10万円程度で追いつかず
- 住宅ローンの一括返済の通知が届いてしまう
月の収入(手取り) | |
---|---|
29万円 | 夫21万円、妻8万円 |
月の出費 | |
37万円 |
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収支バランス | |
低く見積もっても8万円は赤字状態 |
任意売却後
- 任意売却が無事に成功!
- 債務整理も同時並行で実行
- その結果、生活は大幅に改善
- 競売等の事情は知られずに普通に引越しできたため、子供への影響も抑えられた
- 生活にゆとりが出来たことで精神的にも余裕ができた
- 子供が通いたがっ ていた習い事も行かせてやれるようになった
- 家族に平和が戻ってきたと実感
月の収入(手取り) | |
---|---|
29万円 | 夫21万円、妻8万円 |
月の出費 | |
26.5万円 |
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収支バランス | |
2.5万円の黒字に改善! |
競売を回避し、任意売却が可能な期間はいつまで?
任意売却で解決可能な期間は意外とあります。
競売開始通知が届いても間に合う可能性があります。
任意売却で解決可能な期間 | 3~5ヶ月目 | 住宅ローンの滞納 | |
債権者の督促 | |||
住宅ローンの一括返済を要求される | |||
6~7ヶ月目 | 保険会社が代位弁済を行う | ||
債権者から債権回収会社へ債権移管 | |||
保険会社からの競売の申し立て | |||
8ヶ月目 | 裁判所から競売開始通知が届く | 競売開始決定 | |
不動産鑑定士と執行官が現状調査に来る | |||
9~10ヶ月目 | 競売物件が公開される(近所に知られる可能性大) | ||
裁判所から入札の通知が届く | |||
12ヶ月目 | 期間入札開始 | ||
裁判所から売却許可決定が下りる | |||
退去・物件の引き渡し | 強制退去 |
任意売却の進め方
任意売却はどのように進められるか、具体的に手順について紹介します。
1. 調査と査定
依頼を受けた不動産屋が物件調査を行います。
なお査定価格は近隣の相場(市場価格)と同程度です。
【必要書類等】
- 購入時の土地、建物に関する図面・書類(広さや築年数が分かるもの)
- 債権者からの督促状等(借入や滞納状況が分かるもの)
2. リスケジュール
住宅ローンの返済が滞る場合でも、いきなり任意売却に進むわけではありません。
はじめは返済条件を変更することで、住宅ローンを返していけるかを検討します。
これをリスケジュール(通称リスケ)と言います。
住宅ローンのリスケジュールは、一時的に返済期間を延長することで、月々の返済額を減らします。
ただしリスケジュールで状況が改善されないと分かった場合は、すぐ任意売却に進みます。
のんびり構えていると競売が発令され、計画は頓挫するからです。
3. 媒介契約の締結
方向性が任意売却に決まると専任媒介契約を締結します。
【必要書類等】
- 印鑑
- 債権者からの督促状等(借入や滞納状況が分かるもの)
4. 債権者(保証会社)に任意売却の申し入れ
査定価格に参考に、債権者と売却価格を協議し価格を取り決めると、不動産屋の担当者が任意売却を正式に申し入れを行います。
5. 売却活動
不動産流通機構の「レインズ」や、住宅情報サイト、住宅情報誌などに当該物件情報が掲載され、売却活動が進められます。
6. 買受人(買主)の決定
購入希望者が出たら買付証明書を作成し債権者に提出し、購入価格の承諾を得て買受人を決定します。
7. 債権者に配分表を提出
債権者に購入価格から差し引かれる金額を記載した配分表を提出し、債権者の同意を得ます。
8. 売買契約の締結
買主と売買契約を結び、引き渡し日時も買受人と相談の上、確定させます。
【必要書類等】
- 購入時の土地、建物に関する図面・書類(広さや築年数が分かるもの)
- 実印
- 印鑑証明書
- 権利書等
9. 引越し
依頼人の引越し代金は売却代金から出るケースもあります。
10. 決済〜抵当権抹消、費用の精算等
売却代金は借入金の返済に充てられます。
なお任意売却は売主の経済的困窮から、印紙代、抵当権抹消費用、仲介手数料などの費用を、売却代金から充当するのが一般的です。
代金決済後も残債が残る場合は、債権者と返済方法を協議します。
しかしその返済は、毎月の生活に支障をきたすようなレベルではありません(月1万から数万円など)。
住宅ローンが払えないなら、早めに任意売却の専門家に相談しよう
メリット・デメリット各々ありますが、競売にかけられる前に任意売却を検討した方が良いことは明白です。
住宅ローンを3ヶ月以上滞納している方は、今すぐ専門機関への相談をお勧めします。
一緒に対応策を考えてもらいましょう。
競売開始決定通知が届いている場合でも、まだ間に合う可能性があります。